MF技術大賞2022-2023受賞製品 紹介

2023年1月11日

MF技術大賞2022-2023は11月の選考委員会で、3製品のMF技術大賞受賞と2製品のMF技術優秀賞が決定し、表彰式は2023年1月11日東京アメリカンクラブにて行われました。
これら受賞鍛圧機械と受賞加工製品は来る2023年7月12日~15日まで開催されるMF-TOKYO 2023(東京ビッグサイト東ホール)にて、世界に誇る鍛圧塑性加工技術の最先端としてパネル展示されます。

MF技術大賞2022-2023の受賞製品の発表について(日鍛工ニュースリリース)
MF技術大賞2022-2023受賞製品について

MF技術大賞2022-2023募集要項

【MF技術大賞の紹介】

ULプレスでプレス加工限界の16分の1を実現(自動車用厚板フランジ部品)

受賞会社:アイダエンジニアリング(株)光工業(株)
受賞理由:
プレスの抜き加工において穴と外周部分の肉厚は板厚の2倍を確保する事が望ましいとされるが、本製品では穴外周部の切り欠き部が1mmの肉厚が要求された。これはプレス抜き加工の限界を超え、通常であれば機械加工を施す必要があるが、生産能力に難があるためプレス加工に挑戦し、高剛性・下死点精度の高い加工機械の特性と金型の工夫により量産化を実現した点が評価されました。

プレス金型内ねじ転造によるプラグネジの製造

受賞会社:(株)アマダ(株)アマダプレスシステム髙橋金属(株)
受賞理由:
まず、プレス金型内でねじ転造を行うと言うこれまでにない発想が評価されました。また、従来別工程で行うねじ転造では加工速度が6秒掛っていたが、プレスの上下運動エネルギーをカム機構で変換し1サイクル3秒以下のプレス加工に同期させ同一プレス内での一貫加工の実現や、プレス加工と転造加工では本来使用する潤滑油の性質が異なるが一種類の潤滑油で済ます技術や潤滑油リサイクル技術の確立も評価されました。

冷間鍛造プレスによるプリンター用ヘッド部品の超精密板鍛造

受賞会社:(株)放電精密加工研究所秋田エプソン(株)
受賞理由:
製品精度のために一定温度環境管理の徹底で素材の板厚公差±10µmを維持し、加工機械の特徴である平行制御機能を駆使しながら順送板鍛造による80spmの高い生産性を確保しつつ、製品厚さ公差±3µmを実現した点が評価されました。この板厚公差±3µmの実現により、ラップ加工の削減など8工程→4工程と大幅な工程削減が可能となり、ラップを有する工程との比較で生産性5.3倍を実現した点も評価されました。

【MF技術優秀賞の紹介】

精密深絞りプレス加工複合化部品

受賞会社:(株)アマダ(株)アマダプレスシステム(株)大貫工業所
受賞理由:
難加工材のオーステナイト系SUS材の深絞り加工を温間冷間及び油圧機能内蔵プレス金型の開発により中間熱処理を不要とした点やプレス工程→レーザバリ取り→ファイバーレーザ溶接をワンライン化して生産性の向上を図っている点が評価されました。また、油圧機能内蔵プレス金型にピエゾボルトを挿入し、金型への負荷応力をリアルタイムに検出し、金型の補修時期把握や金型損傷の未然防止にも貢献しています。

テーパーベアリングの内外輪とギアブランクの製造

受賞会社:(株)阪村ホットアート(株)置田鉄工所
受賞理由:
これまでの熱間フォーマーがバー材を機械内で切断し成形する工法のみであったが、ビレット材の加熱供給成形加工を可能とする世界初の複合機である点や、本複合機の開発に伴い、テーパーベアリングの外輪内径より内輪外径が大きいタイプの親子鍛造製品を製造できる「外内輪個別鍛造工法」を開発した点が評価さました。本工法により、サイジングや旋削工程の削減が可能になりました。

【MF技術大賞2022-2023選考委員会 】
■委員長
柳本 潤  東京大学 機械工学専攻 教授
■副委員長
堀江 喜美雄  一般社団法人 日本鍛圧機械工業会 副会長、技術委員会委員長
株式会社 アマダ 執行役員
■委 員
久保木 孝 電気通信大学 機械知能システム学専攻 教授
桑原 利彦 東京農工大学 機械システム工学専攻 教授
渡邉 政嘉 東京工業大学 環境・社会理工学院 特定教授
中右 豊  一般社団法人 日本鍛圧機械工業会 専務理事
■事務局
吉村 昌成 一般社団法人 日本鍛圧機械工業会 部長