プレス機械の労働安全衛生法一覧表 |
法の目的
(法1条) |
働く人々の安全と健康を守り、快適な職場環境をつくる。
(労働災害の防止のための危害防止基準の確立、責任体制の明確化等) |
事業者の責務
(法3条) |
事業者は、単にこの法律で定める労働災害の防止のための最低基準を守るだけでなく、快適な職場環境の実現と労働条件の改善を通じて職場における労働者の安全と健康を確保するようにしなければならない。 |
労働者の責務
(法4条) |
労働者は、労働災害を防止するため必要な事項を守るほか、事業者その他の関係者が実施する労働災害の防止に関する措置に協力するように努めなければならない。 |
事業者の行うべき
調査等
(法28条の2) |
事業者は、作業行動等に起因する危険性又は有害性等を調査し(リスクアセスメント)、その結果に基づいて、労働者の危険等を防止するため必要な措置を講ずるように務めなければならない。 |
規制対象機械 |
動力により駆動されるプレス機械等 |
その他機械 |
プレス機械 |
プレスブレーキ |
パンチングプレス |
シャー |
レーザ・プラズマ
加工機、他 |
責務 |
製造者の責務
(法3条2項) |
機械を設計し、製造し、若しくは輸入する者は、これらの物が使用されることによる労働災害の発生の防止に資するように努めなければならない。 |
製造者の行うべき調査等
(法28条の2の2項) |
法28条の2に基づく措置の実施として厚生労働大臣が公布する包括的安全指針から機械の製造を行う者及び機械を労働者に使用させる事業者はリスクアセスメントの実施及びその結果に基づく措置の実施に努めなければならない。
機械の包括的な安全基準に関する指針(基発第0731001号 平成19年7月31日) |
ユーザへの
危険情報の提供 |
(機械に関する危険性等の通知)第二十四条の十三 労働者に危険を及ぼし、又は労働者の健康障害をその使用により生ずるおそれのある機械(以下単に「機械」という。)を譲渡し、又は貸与する者(次項において「機械譲渡者等」という。) は、文
書の交付等により当該機械に関する次に掲げる事項を、当該機械の譲渡又は貸与を受ける相手方 の事業者(次項において「相手方事業者」という。)に通知するよう努めなければならない。 |
安全確保 |
譲渡等の
制限
(法42条) |
厚生労働大臣が定める規格、又は安全装置を具備しなければ譲渡、貸与又は設置してはならない。
(動力プレス機械構造規格の適合又はプレス機械又はシャーの安全装置構造規格適合検定済安全装置の具備) |
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危険の防止
(則131条) |
一、 |
安全囲いを設ける等、作業者の身体の一部が危険限界に入らないような措置を講じなければならない。 |
二、 |
前項の規定によることが困難な場合、次に定めるところに適合する安全装置を取り付ける等必要な措置を講じなければならない。(手払い式安全装置を除く) |
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@ |
プレス等の種類、圧力能力、毎分ストローク数及びストローク長さ並びに作業の方法に応じた性能を有するもの。 |
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A |
両手操作式及び感応式の安全装置にあってはプレス等の停止性能に応じた性能を有するもの。 |
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B |
プレスブレーキ用レーザ式安全装置はプレスブレーキのスライドの速度を毎秒10mm以下とすることができ、かつ当該速度でスライドを作動させるときはスライドを作動させるための作動部を操作している間のみスライドを作動させる性能を有するもの。 |
三、 |
前二項の措置は行程の切換スイッチ、操作の切換スイッチ、操作ステーションの切換スイッチを備えるプレス等において当該スイッチが切換られたいかなる状態においても講じられていなければならない。 |
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レーザ光線による障害防止対策要綱
レーザ光線による障害の防止について
(基発0325002号平成17年3月25日) |
手払い式安全装置に係る経過措置
(則131条の附則) |
手払い式安全装置の原則使用禁止、ただし当分の間、手払い式安全装置を使用することができるプレス機械の条件は下記のものであること。
@操作方法が両手操作式であること。
Aストローク長さが40mm以上であって防護板の高さ以下のものであること。
B毎分ストローク数が120以下であること。 |
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安全措置 |
ストローク端の危険防止措置
(則108条の2) |
ストローク端が作業者に危険を及ぼすおそれのある機械について、移動するテーブル等該当するものはすべてに覆い、囲い又は柵を設ける等の危険を防止する措置を講じなければならない。 |
自動プレスの安全措置
(基発0218第2号) |
自動プレス(自動的に材料の送給及び加工並びに製品等の排出を行う構造の動力プレス)を使用し、当該プレスが加工等を行う際には、プレスの作業者等を危険源界に立ち入らせない等の措置が講じられていること。
(基発0218第2号 平成23年2月18日 則 131関係通達) |
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安全装置の
代表的な例 |
光線式安全装置
身体の一部が光線を遮断した場合に、当該光線を遮断したことを検出する機構を有し、かつ、検出機構が、身体の一部が光線を遮断したことを検出することによりスライド等の作動を停止させることができる構造のものでなければならない。
(プレス機械又はシャーの安全装置構造規格
第四章 第十九条−二十一条) |
左記に直接該当する規定はありませんが「機械の包括的な安全基準に関する指針」からリスクの除去、削減する方策が必要です。 |
PSDI式安全装置が平成10年3月に追加された。
(制御機能付き光線式安全装置の取扱いについて 基発第130号の3 平成10年3月26日) |
プレスブレーキ用レーザー式安全装置(パンフレット参照1) (パンフレット参照2)が平成23年7月より追加された。
(プレス機械又はシャーの安全装置構造規格の一部を改正する件 平成23年厚生労働省告示第5号) |
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光線式安全装置の追加距離
(基発0218第2号) |
光線式安全装置を設置するものは、当該安全装置に表示されている連続遮光幅に応じた追加距離を含めた安全距離が必要であること。
(基発0218第2号 平成23年2月18日 則 131関係通達) |
安全装置とボルスタ前端との隙間
(基発0218第2号) |
感応式安全装置を使用する場合であって、光線式安全装置の光軸とプレス機械のボルスタの前端との間に身体の一部が入り込む隙間がある場合は、当該隙間に安全囲いを設ける等の措置を講ずること。
(基発0218第2号 平成23年2月18日 則 131関係通達) |
対策
(基発第519号の2) |
安全囲いの設置等により身体の一部が危険限界に入らない「ノーハンド・イン・ダイ」の措置を講ずることが最も安全な対策であり、推進すべきであるが、作業の性質上これが困難である場合には、安全プレスの使用による災害防止措置を講ずることとし、さらに安全プレスの使用も困難な場合に限り、 安全装置の取付けによる災害防止措置を講ずることが必要である。なお、足踏み操作式から両手押しボタン操作式へ切り換えることも有効な対策である。 |
一般高圧ガス保安規則の(18条、19条、55条、60条の10、102条)他、ガス等の容器の取扱(則263条)、強烈な光線を発散する場所(則325条)、有害原因の除去(則576条)、ガス等の発散の抑制(則577条)等の個々に事業者に求められる措置が定められている。 |
作業主任者
(法14条) |
動力プレスを5台以上有する事業場(令6条7号)はプレス機械作業主任者(国家資格)の選任が必要です。(則133条) |
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職務内容
(則134条) |
当該作業に従事する労働者の指揮、プレス機械や安全装置の点検、異常を認めた場合の適切な措置、金型の取り付け、取り外し、調整の作業の指揮など |
安全教育
(則36条) |
動力プレスの金型、シヤーの刃部、プレス機械・シヤーの安全装置・安全囲いの取付・取外・調整の業務に関する安全教育など |
点検整備 |
自主検査の種類
(法45条、45条の2) |
特定自主検査
(令15条2項)
(則134条の3) |
定期自主検査
(令15条1項)
(則135条1項) |
左記に相当する法的な義務はありませんが、安全に長くお使いいただくためには、自主検査に準じた点検・整備が必要です。 |
自主検査
(則134条の3) |
1年以内ごとに1回、定められた項目について検査をしなければならない。 |
検査資格
(則135条の3) |
厚生労働省令で定める資格を有するもの 又は特定自主検査を行う 「登録検査業者」に実施させなければならない。 |
事業者が自主的に機能チェック
(則135条) |
検査記録
(則135条の2、3) |
検査の記録(検査方法・検査の結果・検査の結果に基づいて補修等の措置を講じたときは、その内容等)を3年間保存しなければならない。検査年月を明らかにする 検査済標章を機械に貼付しなければならない。 |
プレス等の補修
(則137条) |
点検を行った場合において、異常を認めたときは、補修その他の必要な措置を講じなければならない。 |
作業開始前の点検
(則136条) |
その日の作業を開始する前に、クラツチ及びブレーキの機能・1行程1停止機構・金型及びボルスターの状態等の点検、シャーは刃物やテーブルの状態の点検を行わなければならない。 |
設置 |
設置届
(則86条) |
事業者は、機械等(1項、動力プレスは2項)を設置・移転・変更するときは、その計画を当該工事の開始の日の30日前までに、労働基準監督署長に事前に届け出なければならない。 |
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集塵装置は則86条により設置届が必要です。 |
(法88条1・2項) |
但し「自主的活動の促進のための指針(安衛規則第24条の2)」等に従って適切に実施していると労働基準監督署長が認定した事業者は事後の設置報告とすることができます。労働安全コンサルタント等に自主的活動の実施状況について3年以上評価を受けるなど認定には労働安全マネジメントシステムの充実が不可欠です。(但し書は’06.04.01施行--PDF) |
設置工事 |
機械の設置工事は建設業法による「機械器具設置工事業」の建設業許可(大臣または知事)が必要な場合があります。現地での組立の多い据付工事や1件の請負契約金額が500万円以上の場合では必要になります。但し、機械が一体のもので、トラックなどから降ろして設置場所に据え付ける場合は不要です。
*労働安全衛生法ではありませんので国土交通省ホームページ建設工事の種類(建設業法別表第一)をご参照下さい。http://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/1_6_bt_000081.html |
型式検定 |
型式検定
(法44条の2) |
動力プレスや安全装置の製造・輸入者は、「登録型式検定機関」にて型式の検定を受けなければならない。また機械等に 検定合格証 を表示しなければならない。(注)安全プレスの構造規格を有するとして型式検定を受けたものを「検定プレス」という。 |
左記に相当する規定はありません。 |
型式検定を受けるべき機械等
(令14条の2) |
プレス機械又はシャーの安全装置及び動力により駆動されるプレスのうちスライドによる危険を防止するための機構を有するものは型式検定を受けなければならない。 |
構造規格 |
安全プレス
(動力プレス機械構造規格36条) |
1 |
動力プレスで、スライドによる危険を防止するための機構を有するもの(以下「安全プレス」という。)は、次の各号のいずれかに該当する機能を有するものでなければならない。 |
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一 |
スライドの上型と下型との間隔が小さくなる方向への作動中(スライドが身体の一部に危険を及ぼすおそれのない位置にあるときを除く。以下「スライドの閉じ行程の作動中」という。)に身体の一部が危険限界に入るおそれが生じないこと。 |
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二 |
スライドの閉じ行程の作動中にスライドを作動させるための操作部から離れた手が危険限界に達するまでの間にスライドの作動を停止することができること。 |
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三 |
スライドの閉じ行程の作動中に身体の一部が危険限界に接近したときにスライドの作動を停止することができること。 |
2 |
行程の切替えスイッチ、操作の切替えスイッチ又は操作ステーションの切替えスイッチを備える安全プレスは、当該切替えスイッチが切り替えられたいかなる状態においても前項各号のいずれかに該当する機能を有するものでなければならない。 |
3 |
安全プレスの構造は、第1項の機能が損なわれることがないよう、その構造を容易に変更できないものでなければならない。 |
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注釈 |
(注1) (法)は労働安全衛生法、(令)は労働安全衛生法施行令、(則)は労働安全衛生規則の略ですが、その趣旨を「プレス機械」向けに表現した個所があります。
(注2) 各事項につき指導・命令・罰金等の必要な措置がなされます。
(注3) 概要を一覧表に作成/チェック(13-06-27)しましたが、要約・意訳・省略しているところがあり、 また改正等もありますので、必ず下記を閲覧してご確認ください。
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